東京都のプレコンセプションケア助成を利用し、プレコンゼミを受講した20代夫婦。
インタビューに応じてくれたのは夫のMさん（仮名）と奥さま。
「子どもを持つかどうか」の前に、まず正しい知識と二人の価値観を整理したい。
そんな思いからゼミ受講を決めたという。
前編では、プレコンゼミを受講した20代夫婦が、子どもを望む前に向き合った「価値観の共有」と「事前準備」について語ってくれました。そして今回の後編では、実際に検査を受けた後の変化へと踏み込みます。
遺伝子検査の結果、見えてきたリスク。体調や生活習慣が数字に反映される現実。
そして、これから妊娠へ向き合う上での“判断基準”とは？
前編はこちら：https://n-slash-media.com/12969/
「知識」は“安心材料”ではなく、“行動の指針”になった
森（n/編集長）：前回は受講のきっかけを伺ったので、今回は受講後の変化について聞きたいです。プレコンゼミを受けて、理解の変化はありましたか？
Mさん：正直、最初は「どこまで分かるの？」くらいの認識でした。でも実際には、将来起こりうるリスクや自分の身体の状態が、かなり具体的に把握できたんです。「次にやるべきことが明確になった」これは大きかったと思います。
遺伝子検査A判定。それでも安心できない現実
森：検査結果で印象に残ったことは？
Mさん：遺伝子の状態はA判定でした。遺伝子的には問題が起こる可能性が低い、と言われてホッとした瞬間です。
森：それはすごい安心材料でしたよね？
Mさん： ……ただ。
森：ただ？
Mさん：体調不良の状態で検査を受けてしまって、一般検査の数値が悪かったんです。たとえば運動率などの数値はかなり低く出ていました。
森：体調ってそんな影響あるんですね。
Mさん：医師からは「生活リズムや体調次第で数字は変わる」と言われ、数ヶ月後の再検査をすすめられました。
森： “体調＝妊娠力”だと実感しますね。
自分は大丈夫だと思っていたその思い込みが変わった瞬間
森：受講前後で、妊娠や子どもへのイメージは変わりましたか？
Mさん：正直、“怖さ”はそこまでなかったんです。でも、「健康に問題があるのは一部の人だけ」と思っていた考えは変わりました。
森：自分ごと化した、という言い方が近い？Mさん：まさにそれです。「自分も該当する可能性がある」と分かったことで、準備の必要性がリアルに見えてきました。子どもを持つ／持たない以前に、自分自身の健康の話なんだと。
妊活は開始ではない。整えるところから始まる
森：これから妊娠に向けて、具体的にやろうと思っていることは？
奥さま：葉酸とビタミンDはすぐに取り入れようと思っています。栄養を整えることでリスクが下がるということは、今回初めて知りました。
森：食事・栄養って、地味だけどめちゃくちゃ大事ですよね。
産む／産まないの議論はもう済ませていた
森：ここまで考えている夫婦、本当に珍しいと思います。話し合って良かったと思う瞬間はありますか？
Mさん： 実は、もし先天的な遺伝子異常が見つかった場合どうするかという会話も、すでに夫婦でしています。
森：もう最終フェーズまで議論している……！
Mさん：だからこそ、体調を整えるフェーズに入る覚悟ができた感覚があります。
“時期だから作る”のではなく、迎え入れる準備をするという意識に変わりました。
プレコン普及の壁は「やる気」ではなく「面倒くささ」
森：この制度を広めるには、何が必要だと思いますか？
Mさん：制度自体は本当に良いと思うんですが、「どれくらい面倒なのか」ここが分からないと動けない人は多いと思います。
森：確かに、“不安の正体が不明”な状態が一番行動できないですよね。Mさん：でも、僕らは想像していたより面倒ではなかったので、認知が広がれば受ける人は増える気がします。
同世代へのメッセージ
森：最後に、n/読者である20代〜30代に向けて、一言お願いします。Mさん：受けて損はないです。子どもを作る人も、作らない人も、自分の身体を知ることは武器になるので。僕も受けてよかったと思っています。
将来を考えるとき、健康と同じくらい「お金」も重要です
今回のインタビューでは、Mさん夫婦が自分で教育費や生活費を試算していました。でも、すべてを自分で計算するのは簡単ではありません。
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編集後記
前編では「未来の設計図を引く夫婦の姿」を、 後編では「その設計図に具体的な数字と選択肢が加わる瞬間」を目撃しました。
プレコンは妊娠の準備ではない。自分の人生の余白を可視化する作業です。この夫婦の姿勢が、未来を選べる人を一人でも増やすことを願っています。
ご協力いただき、本当にありがとうございました！
