全5回にわたってお届けしてきたこの連載も、今回が最終回です。

第1回では、プレコンセプションを「人生のリスクマネジメント」として捉え直し、第2回では「自分のリズムを知ること」、第3回では「想定外への備え」、そして第4回では「キャリアや人生の土台を整えておくこと」についてお話ししてきました。

 最後は、それらをどうやって「これからの選択」につなげていくか。 

ライフとキャリアをしなやかにプランニングする考え方を、できるだけ具体的にお伝えします。

ライフイベントはキャリアのブレーキではなく「ギアチェンジのタイミング」

私たちはつい、キャリアを「続けるか、辞めるか」「頑張るか、諦めるか」そんな二択で考えてしま いがちです。でも実際の人生は、そんなに単純ではありません。 

自分にもリズムがあるように、人生にもリズムがあります。

● 体調も気持ちも充実して、アクセルを踏める時期
● 少しペースを落として様子を見たい時期
● 誰かを支えることが優先になる時期
● まず自分を守ることが一番大切な時期  

キャリアは、こうした人生のリズムに合わせて、いくつものギアを切り替えながら進んでいくものです。 

● フルスロットルで走るギア 
● 速度を落として様子を見るギア 
● いったんニュートラルにして整えるギア
● 別ルートに入るための切り替えギア 

どのギアに入っていても、「止まっている」わけではありません。走り方を変えているだけです。 

例えば、大きなライフイベントである不妊治療や妊娠、出産等と自分のキャリアについて考える 時、どうしても多くの人は無意識に二択に追い込まれてしまいます。 

● 無理をしてでも、これまで通り続ける
● いったんキャリアを諦める 

これは、トップギアで走り続けるか、エンジンを止めるかという極端な選択です。 

でも、自分のリズムや環境を整えてきた人には、その間にある「ギアを切り替える」という選択肢 が見えてきます。 

例えば、こんなギアチェンジがあります。 

● 不妊治療中で体調や通院の負担が大きい時期 

 →「今は無理にアクセルを踏み込まず、ギアを一段落としてマイペースに走ろう」 

● 妊娠中で体調が読みにくい時期 

 →「スピードより安定を優先するギアに切り替えよう」 

● 出産・産後の回復期 

 →「一度ニュートラルに近いギアにして、生活と心身の立て直しを最優先しよう」 

● 体調や生活が整ってきたタイミング 

 →「そろそろ、もう一段ギアを上げてもいいかもしれない」 

ここで大切なのは、キャリアを続けるか、やめるかの二択ではないということです。 

どのギアで、どんなスピードで、いつ踏み直すか。それらを自分で選べる状態でいることが、キャリアを失わないための力になります。

プランニングは「予定」ではなく、「操作できる余白」を持つこと

ここまで読んで、「じゃあ、ちゃんと計画を立てなきゃいけないの?」と思った人もいるかもしれません。 

でも、ここで扱うプランニングは、スケジュール帳を未来まで埋めることではありません。 

それは、状況が変わったときに、ギアを切り替えられる余白(選択肢)を持っておくことです。 

● 相談できる人・頼れる人が思い浮かぶがいる
● 働き方の選択肢を知っている(時短、リモート、配置転換など) 
● 無理をしやすいタイミングを自覚している 
● 一時的にスピードを落としても戻れる感覚がある

こうした「余白」があるからこそ、想定外が起きても、人生は止まりません。

「正解の人生」より、「納得して選べる人生」を

キャリアにも、ライフイベントにもあらかじめ用意された正解はありません。 

あるのは、その時々の自分の状態と、その状態をわかった上での選択だけ。 

自分のリズムを知り、想定外を想像し、必要な土台を少しずつ整えてきた人は、「私は今、このギ アを選ぶ」と、胸を張って言えるようになります。 

それができる人は、どんな道を選んでも、ちゃんと前に進めます。 

今の自分を丁寧に扱うことが、そのまま未来の自分へのギフトになります。 

頑張る時期があってもいい、立ち止まる時期があってもいい。 ギアを落とす判断も、踏み直す判断も全部あなたのものです。

最後に

「今は忙しいし、正直まだ深く考えたくない。でも、未来で困るのは避けたい。」 

こう感じている方も多いのではないでしょうか。 

その感覚は、とても自然です。だからこそ大切なのは、今すべてを決めることではありません。 

ただ、“未来の自分の面倒を、少しだけ今から見ておくこと”、これだけです。 

それだけで、想定外の「その時」が来たときに、慌てず、折れず、そしてしなやかに選べる自分でいられます。 

ライフイベントもキャリアも、 完璧にコントロールする必要はありません。

人生という長い道を、その時々の自分に合ったギアで走っていけること。 

選択肢と選択権を自分の手に残し、自分主導でキャリアを描くこと。 

それが、「選び続けられる私でいる」、ということなのだと思います。 

この連載が、そのための小さなヒントになっていたら嬉しいです。

※編集部より

将来に備えて今の土台を整えるという考え方は、
キャリアや健康だけでなく、「お金」の視点からも広がりを見せています。

All Rightは、ninpath(ニンパス)と連携し、
将来こどもを望む方のための「おかねの相談」サービスを、ピアコネを通じて提供しています。

将来の選択肢を狭めないための、
関心のある方はぜひチェックしてみてください。

ピアコネ登録はこちら:liff-ca-uat.peer-conne.jp/?company_id=C0014_Media

ミニコラム 

私自身は3年間、高度不妊治療をしていました。不妊治療による退職も経験しました。当時は周囲への根回しも上手くできず、選べるだけの選択肢も思い浮かばず、知識や情報も乏しく、悔しまぎれに退職をしました。 

退職したことで、不妊治療に専念できる環境を手に入れましたが、治療がなかなか難航したこと、築いてきたキャリアも失ったことで精神的にも不安定だったと思います。「このままでは何もかも上手くいかないのでは」という感覚に陥り、一念発起してキャリアの立て直しを始め、今は自分の ライフスタイルにも合う働き方でキャリアを維持できています。 

今回の連載は、この出来事で学んだことを基にまとめさせていただきました。ここで扱ったプレコンセプションという考え方は、正規の定義とは少し異なるかもしれません。しかし、言いたいことはきっと共通していると思います。自分のライフとキャリアを少し前倒しで考えて、いざという時の 未来の自分の面倒を少し見ておくという考え方です。一人で考えるのが難しい、苦しいという方は私もお手伝いしますので、一緒にプランニングしてみましょう!