これまでの回で、自分のリズムがあること、人生には想定外がたくさん起こることを見てきました。

 ここまで読んで、「考え方は分かったけど、 結局、今なにをしておけばいいんだろう?」と感じている方もいるかもしれません。

第4回は、そんな疑問に答える回です。

ここで扱うプレコンセプションの趣旨は、将来の選択を今ここで決めることではありません。

 “いつか”が来たときに、 迷いすぎない・困りすぎないための土台をつくること。

今日は、そのために今からでも無理なく整えておきたい3つの土台を紹介します。

■ 土台①「情報・知識」——知らないことが、一番の不安になる

想定外が起きたとき、人が一番しんどくなるのは「判断材料がない状態」です。

● どんな選択肢があるのか分からない
● 誰に相談すればいいのか分からない
● そもそも、何を調べればいいのか分からない

この「分からない」が重なると、必要以上に不安が膨らみ、決断を先延ばしにしてしまいます。

だから最初の土台は、情報・知識。

といっても、今すぐ調べ尽くす必要はありません。

大切なのは、例えば—

● 働き方にはどんな選択肢があるのか
● 会社や行政の制度やサービスには、どんなものがあるのか
● 困ったとき、頼れる先はどこか

などの”情報や存在だけ知っておく”こと。 

「いざとなったら、ここを調べればいい」「この人に聞けばいい」 

それが分かっているだけで、”その時”の焦りは、驚くほど減ります。

■ 土台②「調整できる余地」——全部を全力にしない

第2回で触れたように、私たちの調子やパフォーマンスには波があります。 

それなのに、

● 仕事は常に100%
● 家庭も常に完璧
● 余白ゼロ

この状態だと、想定外が起きた瞬間に、一気に崩れてしまいます。 

だから整えておきたいのは、 “調整できる余地”。 

例えば、 

● この仕事、誰かと分担できる部分はある?
● 忙しい時期、少しペースを落とせる余白はある?
● 「無理です」と言える関係性はある?

これは、手を抜くことでも、甘えることでもありません。 むしろ、長く働き続けるための戦略です。 

今すぐ環境を変えなくても、「調整できるかもしれない」という視点を持っているだけで、選択肢は確実に増えていきます。

■ 土台③「相談できる先」——一人で抱え込まない設計

想定外が起きたとき、多くの人が一番しんどくなるのは、 

「これ、誰に相談すればいいの?」「一人で決めなきゃいけない気がする」という状態です。 

だから3つ目の土台は、「相談先を持っていること」です。

● 職場で話しやすい人
● プライベートで本音を話せる人
● 専門家(かかりつけ医、キャリアについての相談先など)

すべて揃っていなくても大丈夫。「これはこの人」「ここはこの場所」と、役割を分けて持っておくことがポイントです。

相談先は、困ってから探すより、元気なうちに”目星をつけておく”ほうが、ずっとラクです。

■ 小さく整える、という選択

ここまで読んで、「なるほど、でも全部はできないかも」 と感じた人もいるかもしれません。 

でも、これまで連載で扱ってきたプレコンセプションの前提は「大きく変えること」ではありません。 

むしろ大切なのは、「小さく整えておく」という選択です。 

未来に起きることは、誰にも予測できません。完璧な準備も、正解の計画もありません。 

だからこそ、 

・ 情報を少しだけ持っておく
・ 余白がありそうな部分を把握しておく
・ 頼れそうな先を一つ思い浮かべておく

そんな小さな整えが、 “その時”の自分を確実に助けてくれます。 

全部を整えなくていい。

今すぐ決めなくていい。 

動き出せなくてもいい。 

「もしこうなったら、どうしようか」 を、ほんの少し考えたことがある

それだけで、想定外は「突然 のパニック」ではなく、「対応できる出来事」に変わっていきます。 

プレコンセプションは、頑張って完璧な未来をつくるためのものではありません。 

「未来に振り回されすぎないために、今の自分を少しだけ整えておく。」「未来の自分の面倒を少しだけ見ておく」

それが、この連載でお伝えしてきたプレコンセプションの”行動”の形です。 

※編集部より

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✦ 明日からできる!未来の自分をラクにするミニチェック 

今日は「全部やる」必要はありません。気になるものを一つだけでOK。 

● 困ったときに相談できそうな人・場所を一つ思い浮かべてみよう 
● 今の生活で「少し緩められそうな部分」を一つ探してみよう
● 気になっている制度や働き方をメモしてみよう

できなくても大丈夫。「考えた」だけで、もう準備は始まっています。

✦ プチQ&A(第4回) 

Q:まだ何も起きていないのに、こんな準備をする意味はありますか?

 A:あります。むしろ、”まだ起きていない今”が一番やりやすいです。 

想定外が起きてからだと、心も時間も余裕がなくなります。 

「その時になったら考える」ではなく、「その時、考えられる自分でいる」。 

そのための土台づくりだと思ってください。

■ 次回はいよいよ最終回へ 

第5回では、ここまで整えてきた土台をもとに、 

「どうやって、しなやかにキャリアを選び続けるか」という話をします。

 変わり続ける人生の中で、“自分でハンドルを握り続ける”ためのまとめです。 

あと一歩。最後まで、一緒に進みましょう。