私たちは今、歴史上かつてないほど「生理(月経)の回数が多い」時代を生きています。昭和の初め頃には一生に約50回だった生理が、現代では約450回にまで増えています(1)。この変化は女性が社会進出してライフスタイルが多様化した証しでもありますが、身体には大きな負担にもなっています。今回はこの変化が身体に与える影響と、自分の身体を守る選択肢をお伝えします。

生理の回数が9倍にも増えた理由は、女性が活躍するようになったから

現代女性の生理回数が激増した主な理由は、「初経(最初の生理)の早期化」と「妊娠・出産回数の減少」と言われています。昭和初期の初経年齢は13歳頃でしたが、栄養状態がよくなったことで、いまは12歳頃と1歳程度早くなっています(2)。加えて、女性が活躍するようになったことなどで出産回数や授乳期間が減り、子どもを持たない選択も一般的になりました(1)。こうした影響で、排卵が止まる期間が短くなり、排卵・生理の回数が急増しました。

生理が増えることで増えるリスク

生理の回数が増えることは、子宮や卵巣にとっては大きな負担となります。その影響として、現代女性によくみられる「子宮内膜症」という病気があります。通常、子宮の内膜は生理のときには経血として、腟を通って体の外へ排出されます。しかし、子宮内膜症では内膜が子宮の外にできてしまいます。これらは腟から排出することができないために、その場に溜まったり周囲の組織と癒着(くっつくこと)することで、強い生理痛を引き起こしたり、癒着する場所によっては不妊の原因となったりします。子宮内膜症は、女性の10人に1人が罹患していると言われ、子宮内膜症の人の30~50%の人が不妊を併発するというデータもあります(3)。そして、何度も繰り返される生理は、子宮内膜症の発生を促すだけでなく、その病状を悪化させる一因にもなり得ます。

未来の選択肢を広げる「排卵のお休み」

一方で、多すぎる生理の回数をコントロールすることで、子宮内膜症や不妊のリスクを減らすことができます。その代表的な方法が「低用量ピル」の服用です。避妊のイメージもありますが、いまはひどい生理痛などに対する治療薬として、保険適用で処方されることが一般的です。副作用が心配な人もいると思いますが、低用量ピルにも種類があって自分に合ったものを選べます。生理周期に伴ってできてしまうニキビや生理前の体調不良(PMS)に効果的なもの、生理を最大で3か月に1度に減らせるものなどもあります。費用は月に2,000~3,000円程度です。低用量ピルを賢く利用することは、自分の体調だけでなく、将来の可能性をコントロールすることにもつながっていきます。

医療の力を賢く使おう

「生理は自然なものだから、薬を使うのは不自然」という声もあります。しかし私たちが過ごす現代は、私たちの身体が適応しきれないほどのスピードで変化しています。医学の力を借りて身体の負担を調整することは、賢く生きるための戦略だと私は思います。どのようなキャリアや家族の形を選ぶかに関わらず、その土台にはあなたの健康があります。ぜひ、ご自身の身体をケアする選択肢を知っておいてください。


引用・参考文献

(1)厚生労働省. (n.d.). 女性ホルモンとライフステージ. 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ. https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/health/lifestage.html(2026年1月26日アクセス)

(2)内閣官房. (2022, June 3). 女性活躍・男女共同参画の現状と課題 [PDF]. https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kagayakujosei/dai12/sankou2.pdf(2026年1月26日アクセス)

(3)日本産婦人科医会. (2019). (4)子宮内膜症性不妊への対応. 研修ノート No.102 子宮内膜症・子宮腺筋症. https://www.jaog.or.jp/note/%EF%BC%884%EF%BC%89%E5%AD%90%E5%AE%AE%E5%86%85%E8%86%9C%E7%97%87%E6%80%A7%E4%B8%8D%E5%A6%8A%E3%81%B8%E3%81%AE%E5%AF%BE%E5%BF%9C/(2026年1月26日アクセス)