20代は、男女ともにキャリア形成の重要な時期であると同時に、妊娠・出産といったライフイベントに対する意識が芽生える時期でもあります。
「仕事も結婚も出産も、どれも大事にしたい」。そんな思いを持つ女性にとって、キャリアと妊活の両立は切実なテーマです。
今回は、将来後悔しないために、20代から始められる妊活とキャリア設計の考え方を、医療・キャリア支援の専門家の意見も踏まえて解説します。
キャリアと妊活の両立を考える理由
現在、日本の女性の第一子出産平均年齢は30.9歳(厚生労働省 令和4年人口動態統計)とされており、出産年齢が年々上昇しています。
一方、女性の妊娠力(妊孕性)は加齢とともに低下することが知られています。
メモ:妊孕性(にんようせい)=妊娠するための力や可能性のこと
特に30代半ばを過ぎると自然妊娠の確率は急激に下がり、妊活を始めてもなかなか妊娠しにくくなるケースが増えます。
そうした背景から、キャリアを優先してきた結果、妊活で壁にぶつかる女性も少なくありません。
例えば、20代で不妊治療を開始したある女性は、治療と仕事の両立ができずに退職を選びました。「もっと早く妊活を考えていれば…」という声も多く聞かれます。
妊活を見据えたキャリア設計のポイント
20代のうちから、将来の妊活を見据えたキャリア設計を行うことが、自分の選択肢を広げるカギになります。
実践しやすい3つのポイント
① 会社の制度を確認する
・産休・育休制度の整備状況
・時短勤務や在宅ワークの制度の有無
・過去の取得実績(女性社員の体験談など)
制度は整っていても、実際に取得できるかは別問題。入社前の企業研究や、上司との面談で確認しておくことが大切です。
② リモートでも活かせるスキルを磨く
IT系・語学・Webマーケティングなど、在宅勤務でも通用するスキルは、将来的に育児と両立しやすい働き方へとつながります。
また、フリーランスや副業といった働き方を視野に入れることで、より柔軟なキャリア設計が可能になります。
③ 長期的な視点を持つ
出産前後で一時的にキャリアが中断しても、再就職や復職しやすいように「継続できるスキル」や「人脈」を育てておくことが重要です。
自分の体を知ることの重要性
妊活は、まず自分の体を知ることから始まります。
**AMH検査(抗ミュラー管ホルモン検査)**は、卵巣内に残っている卵子の数(卵巣予備能)を調べることができる検査です。
この数値は年齢に比例して低下し、妊娠のしやすさに関わる大切な指標です。
20代でこの検査を受けることで、「今すぐ妊活が必要か」「凍結卵子という選択肢を考えるべきか」など、計画的な判断が可能になります。
メモ:卵子凍結=将来の妊娠に備えて、若いうちに卵子を冷凍保存しておく方法
2023年には東京都をはじめ、自治体でも卵子凍結への助成制度が始まっており、関心が高まっています。
パートナーと一緒に描く未来設計
妊活・ライフプランは、決して一人で考えるものではありません。
「子どもは何人ほしいか」「いつ頃に結婚したいか」「共働きを続けるか」など、早い段階からパートナーと話し合いを重ねておくことで、将来のミスマッチやストレスを防ぐことができます。
ある調査では、「妊娠を望んでからパートナーと意見が合わなかった」と答えた女性の約4割が、「事前に話し合っていればよかった」と後悔しているとのことです。
おわりに:選択肢は「今の自分」にしか広げられない
キャリアと妊活の両立に「正解」はありません。
ですが、「知らなかった」「準備していなかった」と後悔することだけは避けたいものです。
20代の今だからこそできる情報収集と選択が、未来の自分を支えてくれます。
焦る必要はありませんが、まずは自分の体と向き合い、ライフプランについて考えてみましょう。
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